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神戒です。
本当にふと思ったので、歌詞解釈しようかなと←


今回の曲は前にニコニコにうpしたものですが
「私少女」と「僕少年」です。

【私少女】
【僕少年】


えっと、今さっき気がついたのですが・・・
私少女の3:15のところの歌詞
「苦しめてるんでしょ」じゃなくて「苦しめているんでしょ」です;
4ヶ月たって今更ですが;




この物語のテーマは
「力を持った人間は何をするのか」です。

同時にコレが物語の問いになります。
そして、それぞれが解になります。
二つあわせて初めてわかる物語

少女は孤独な解を出し
少年は滅びの解を出した。


しかし、この物語には3つ目の解が存在する。
欲のためにふたりを作った人、科学者の解。





「完成」
「2号機」
「暴走」

僕少年の方に入ってるキーワード
科学の技術が進化して来た現代
クローン技術などの研究も進められている。
誰も知らないうちに人体実験は行われているかもしれない
科学の元素の組み合わせで原子力なんてものまで出来るなら
ひょっとしたらいつかは危険分子が出来るかもしれない
もし、タイムマシンで過去を変えれるようになったとしたら
科学者はどうするのでしょうか?
そして、それを最後の最後まで知ることの出来ない一般人はどうなるのでしょうか?




というわけもわからない突拍子もないところからこの話が出来ました;

科学者にとって一番近い実験材料。
塗り替えたい嫌な現実
原子力よりも危険な分子
それらの全てが実現可能となったとき
科学者の起こした行動
引き離された少年少女
届いたのに起きた悲劇

入れ替わるふたり
閉じ込められ眠りについた少女
兵器になった少年
王になった科学者
何代も続く主従関係
少女と少年の再会
消えた記憶
少女に託す思い
初めてのプレゼント
悲劇の終焉
二つの力が一つになる



こんなところです。
が、コレじゃ本の見出し状態でわからない;
という方は下に僕少年のイラストを絵師さんに依頼したときに
イメージしやすいように小説を書きましたのでどうぞ。
一応私少女とも繋がる部分はあります。
登場人物はわかりやすくリンとレンにしてあります。
実際は私少女も僕少年も動画の最後にあるとおり本の中の話です。
突拍子もない発想から来ていますので現実離れしすぎています。
もし、それが苦手な方はやめておいたほうが良いと思います。
では、OKの人のみスクロール。










※誤字などは暖かく見守ってくださると嬉しいです;






僕少年~delete story~



「完成しました」
「これで、世界は我々の・・・」

声が聞こえ僕は目を覚ました。
周りには白衣の大人が沢山いて、機械を動かしたりデータを書いたりしている。
手や足など、僕の体にはよくわからないコードが何本も繋がれている。
僕は一体誰なのだろうか・・・

「んっ・・・」

不意に声が聞こえて隣を見る。
其処には同じようにコードに繋がれた女の子がいた。
黄色の肩までの髪に蒼い瞳。身長の高さは僕より少し低いくらい。
可愛い服を着て、頭には白いリボンで、お姫様を見ているみたいな感覚になる。
彼女も今、目を覚ましたばかりのように周りを見渡している。
その様子をじっと見ていた僕の視線を感じたのか、こちらを向いた彼女と目が合ってしまった。
直ぐに逸らそうと思ったのにそれは叶わなかった。
彼女が笑ったから・・・微笑みとかじゃなくて無邪気な笑顔で。
その瞬間何かが生まれた。似たような感覚を前にも感じたことがある。
前・・・?前っていつだ。そもそも、僕は誰・・・?

「さぁ、コードを外せ。まずは1号機、鏡音リンから」

偉そうな白衣の男がそう言うと彼女の体から次々とコードが外されていく。
鏡音リン・・・それが彼女の名前なのだろう。
ついに最後のコードも外され、自由になったその体はまっすぐ俺の前に歩いてきた。

「早く・・・レンを自由にして」

初めてちゃんと聞くリンの声。
少し高くて、芯があって・・・なのに表情は哀しそうで、今にも泣き出しそうな瞳が僕を見てる。
さっきの偉そうな男はというと、目を見開きリンを凝視してる。
一体何がどうなっているのか、まるでわからない。
リンの言った「レン」とは僕のことか?
僕が一人で悩んでいる間にコードの取り外しが始まっていた。
一本一本外れていくにしたがって、頭が痛くなってくる。

「っ・・・あ」

痛い痛い痛い・・・。
体の奥から得体の知れない何かが込み上げてくる。
止めてと言いたいのに声が出ない。
最後のコードが取り外され、部屋中に警告音が鳴り響く。

「2号機、暴走しました!!」

2号機・・・それは僕のことか?暴走って?
そんなの今はどうでもいい。
とにかく助けて欲しい。
頭が痛くて割れそうで、体の奥の得たいの知れない何かがどんどん大きくなっていく感覚がする。
誰か誰か誰か・・・助けて・・・

「ああぁっぁああぁぁっぁぁ!!!」

頭を抱えて叫んでも、開放されない。
その痛みと共に何かが見えた・・・
僕とリンが手を繋いで歩く・・・そんな光景。

「森が、枯れてる・・・」
「このままでは大変です!!」
「折角作ったんだ・・・破壊はするな!!」
「こうなったら片割れだけでも・・・リンだけでも連れて逃げるぞ!!」

もう、何がなんだかわからない・・・
聞こえていても理解が出来ない。
意識も遠のいていき、痛みも和らいできた。
これで僕は楽になれる・・・かな・・・

「1号機何をする!!」

何か聞こえたと思ったら急に暖かいものに包まれた。
顔を上げると、蒼い大きな瞳。
リン・・・?何して・・・僕は抱きしめられて・・・?
背中にまわされた腕に力がこめられたのがわかる。

「レン、大好きだよ・・・ずっとずっと、ありがとう」

リンは笑顔でそう言って、僕の肩に頭を乗せた。
どういう意味。そう言おうと思ったのに目の前が真っ白になって・・・
別に僕がどうなったわけでもなく、ただ眩しくて目が開けられない。
何か大量な情報が頭から入ってくるような感覚もする。


暫く経って、眩しさが治まり目を開ける。
頭の痛いのも苦しいのもいつの間にかおさまっていた。

「リン・・・リ、っ!!」

彼女にちょっと触れただけなのに何の抵抗もなく崩れ落ちそうになり慌てて支える。
顔色も悪く、意識がない。気を失っているだけだろうか。
もう一度声をかけようと思った瞬間、一瞬の頭の痛みと共に多くの情報が流れ込んできた。
そして、リンが何をやったのかを悟った。

「どうして・・・どうして僕を助けたんだよ!!
 この能力はリンのものじゃないか・・・なんでそんなに笑顔で。僕の代わりなんてやめてよ」

溢れる涙が止まらない。ポタポタとリンの服を濡らしていく。
この情報もきっとリンがくれたもの。
僕の元々のプログラムには組み込まれてなかったもの。
そう、プログラム・・・僕たちは作られた。
此処にいる多くの大人たちによって、大人たちの野望を叶えるために。



世界を変える。それがこの大人たちの野望だった。
用途によっては世界を破滅させる特殊なエネルギーが発見され、野望を実行できると知った大人たち。
そのエネルギーを埋め込まれて作られたのが僕らだ。
そんな僕らは・・・





元々人間だ。





この実験をしている場所はリンの家の研究所。
彼女の親は有名な科学者だった。
そして、僕の親はその助手。
だから、小さいときからリンと一緒に育って・・・
いつの間にか彼女は僕の大切な人になっていた。
直ぐにむくれるとこも、泣きそうなときに涙を必死にためる姿も
無邪気な笑顔も、たまに見せる微笑んだ表情も・・・全部全部大好きだった。
それが、あの日・・・全てが壊れた。
もっと僕に力があれば・・・リンを守ってやれたのに。




「嫌っ、放して・・・助けて、レンっ!!」
「リン、リ・・・っ、放せよ・・・」




何がなんだかわからなかった。
ただ、いつものように学校が終わりリンを送っていっただけだった。
家に着いたとたん、研究員たちが彼女を引っ張り無理矢理研究所に連れて行こうとして・・・
リンを放せ、そいつの泣き顔なんて見たくない・・・
その一心で必死に手を伸ばして、もう少しで届きそうだった。






「リン!!!!!!!・・・・っ」





伸ばした手の先は青空が広がっていた。
あぁ、またあの夢か・・・
隣国に行く途中の森の中で野宿をすることにして・・・そのまま随分寝てしまったらしい。
暗闇では目立たないように、黒のマントをフードまで被り、木に寄りかかって寝ていたが、
もう昼が近い今では逆に目立ってしまいそうだ。
しかし、顔を見せるわけには行かない・・・誰にも。
そうやって、リンが隣にいない幾百年を過ごしてきた。
本当は全ての記憶を消してコードネーム「鏡音」をつけた「リン」と「レン」として僕らを作る予定だったらしい。
でも、それは失敗したらしい。現に僕には記憶があるし、あのときのリンの様子からしても記憶がある。
あぁ、まただ・・・
この夢を見た後は必ず涙が流れてくる。
リン、ごめん・・・っ





僕が伸ばした手は確かに彼女に届いていた。
だけど、そこで意識は途切れ気がついたらあの、目覚めの瞬間だった。
あの時、僕が目を覚まさなかったら彼女は笑顔でいれたのかもしれない。
僕の目覚めを待ちながらきっと笑顔で話しかけてくれていたはずだ。
きっとバグにも気づいてもらえて今頃は・・・いや、もう過ぎてしまったことだ。
彼女はアレから簡易版の修正プログラムを入れられた。
修正といってもバグが何かわからない状態だったために機能を抑えるだけのもの。
その後は枷をつけられ研究所の奥にある小さな部屋に閉じ込められた。
僕は必死に訴えたが何も聞き入れてもらえなかった。実の親にも。
リンに入れられたプログラムは簡易版のためいくつか制約があった。
まず、彼女の機能が仮死状態・・・つまり眠っている状態でなければ処理が出来ない。
そして、このプログラムはいつか止まってしまう。
いくら仮死状態にしていてもリンは目覚めるだろう。
冬眠した動物がいつか目覚めるのと同じ様に。
そうなったらリンはいつまで耐えられるかわからない。
最後に、抑制プログラムであって制御プログラムではない。
いくら仮死状態でも生きるためのエネルギーが必要になる。
生きるために必要なもの・・・それは他の生命のエネルギー。
僕らに埋め込まれたものはそのエネルギーを奪うことの出来るモノ。
モノはあっても肝心の生命エネルギーがなくてはどうしようもない。
そこで、リンの父親は近くの村にある言葉を言い残した。

「村外れの枯れた森 ひとりの少女が捕らえられ 行く者、生命を 主の魔女に奪われる」

そんな言葉を誰が信じるかと最初は思った。
けれど、信じ込ませたんだ・・・自分は預言者だといって・・・
そもそも本当に預言者であるはずが無い。そのリンの父親が何故信じられたのか。
それは、この時代の出来事を知っていたから。
リンと別れ、初めて研究所を出て僕は知った。此処は・・・昔の時代だと。
自分たちは時間を遡っていたのだと。
だから、預言者になることが出来た。
その時代に何が起こっていたのかを次々と当てていったから。
そうやって各地の町や村に言い伝えとして残すことで、リンの生命は保たれることになった。
一方、僕はそのエネルギーをどう補充していたかというと・・・




「レン・・・この王宮を占拠する。中の者は全てお前のエネルギーだ」




大人たちの命令には逆らえなかった。
彼らは僕が素直に言うことを聞かないと思って最初から準備してあったらしい。
リンの父親が出したものは「鏡音リン」の爆破装置。
丁寧に説明までされた。
王宮からリンのいる国までは思ったより距離はなくスイッチひとつでリンを爆破させられると。
そのとき僕は本当に無力だと知った。
リンを助けてあげることも出来ないし、リンを守るために・・・
それから今までずっとその王宮に仕えている。幾百年ずっと・・・
どんな技術を駆使したかは知らないが、僕はエネルギーを奪い続けている限り歳はとらないらしい。
変わるのは、服装と仕える王だけ。
この服も・・・今の王になったときに渡されたもの。

「さて、そろそろ・・・」

昔のことを思い出している時間はもう無い。
今日中に国をひとつ消さなければいけない。
消すといっても、国の王家だけでいい。
たとえ国を手に入れても民がいなければただの使えない土地にしかならないから。
ゆっくりと腰を上げて目的の国へと足を進めた。
ふと、考えるときがある。僕があのままだったらこの役目はリンがやっていたのだろうか。
その点に関してだけは僕と入れ替わってよかったのかもしれない。彼女にはこんな役目は似合わないから。
それにしてもいつまでこの状態が続くのだろうか。僕が作られた理由でもある大人たちは既にいないのに。
暫く歩き、森を抜ける手前で少年グループとすれ違った。
その瞬間、いつもなら絶対しないのに思わず声をかけてしまった。

「今の話聞かせてくれ!!」
「え・・・」
「いいから早く!!」

気がついたら少年の胸倉を掴んでいた。
誰にも知られないように王家を滅ぼすのが僕の役目だったのに、この幾百年の中でこんな失敗初めてだ。
でも、そんなことも構っていられないくらいだった。だって、だって・・・

「枯れた森の少女と魔女が何だって!!」
「っ・・・」
「枯れた森の変な建物に青い勇者のにーちゃんが行ったんだ!其処に女の子が居たんだって!
 でもその子に、魔女がどうとかで逃げろって言われたんだって!
 勇者のにーちゃんそう言ってそのまま死んじゃったんだ!!
 もう、コレでいいだろ!放してやってくれよ!!」

掴んでいる少年の変わりに早口で代弁された。
もう、少年たちは何も言ってくれそうに無いので仕方なくそのまま手を放す。
そして、礼も何も言わずに元進んでいた道を歩き始めた。
後ろからは少年たちが何か叫んでいるがそんなの耳に入らない。
だって今、少年は“逃げろって言われた”そう言った。
もう、コレが意味するものは一つしかない・・・リンが目覚めた。





とりあえず、あの後はいつもどおり国を滅ぼして王宮に戻った。
それから何度か国を滅ぼしに行ったが、その間の記憶は無い。
あの日からリンのことで頭がいっぱいになってしまったから。
そして、ついにこの日がやってきた。
幾百年繰り返してきた結果だ。
残るのは・・・彼女の居る国だけになった。
そして、最後の命令・・・

「さぁ、お前の片割れの居る国を滅ぼして来い。そして・・・」
「え・・・」

今、この人はなんて・・・きっと聞き間違えだよな。

「なんだ聞いてなかったのか?片割れの国を滅ぼして来い。そして、お前の片割れのエネルギー体を持って来い」

他の奴に取られても癪だしな。そう言った王は楽しそうに僕を見ていた。
それって・・・・リンを殺せってことだよな・・・
そんなこと僕に出来るわけが・・・

「爆破装置。出来ないなら今ここで使っちゃうよ?」

あぁ・・・人は自分のためなら何でも犠牲に出来るんだな・・・
とりあえず・・・とりあえず・・・

「わ、かりました。行き、ます」

そう言うしか僕に道は残されていなかった。
どうするかは後で考えよう。
今はあの装置を使われないようにすることだけが先決だ。
この日のうちに僕は支度をして向かった。リンのいる国へ。




僕は国を滅ぼすことよりも何よりも早くリンに逢いたかった。
けれど目立たないようにしなければいけない。それが僕の仕事の中で最優先しなければいけないこと。
怪しまれないようにゆっくり歩いているのに鼓動はその何倍もの速さで動いていた。
早くしないと時間がないのに・・・。
制限時間は1ヶ月。それを過ぎた場合はリンを爆破すると言われた。
この期間で僕は何とかすることができるだろうか。いや、しなきゃいけない。
やっとあの、枯れた森に着いたときには既に1週間が過ぎていた。
ゆっくりゆっくりリンの部屋に近づく。
この扉の前に立つまで長かった。
被っていたフードをとって深呼吸を一回して、ドアを開けた。

「・・・っ!!」

驚いた顔でこちらを見ている少女。
あの時と変わらない。僕と同じで歳をとっていない状態から見て多くの生命を奪っていたのだろう。
いや、“奪っていた”ではない。現在進行形で奪っている。僕からも。
今まで奪ってきた生命エネルギーはたくさんある。がこのままでは僕も直ぐになくなってしまう。
仕方が無いからリンから同じ分だけもらって相殺することにした。
でも、やっと逢えた。自然と顔が笑顔になり、彼女の頬に触れた。
リンはずっと震えていた。きっと怖かったのだろう。
部屋に来る人の生命を自分の意思とは関係無しに奪ってしまうことが。
やっぱり僕には出来ない。彼女を犠牲にするなんて。

「どうしてよ・・・平気なの・・・」

やっと口を開いたリンだったが驚いたような顔で僕を見ている。

「だって、リンと同じ能力を持ってるんだよ?」

僕の言葉にリンは目を丸くした。
どうしたのだろうか。様子がおかしい。

「リン・・・?」
「あの・・・彼方は誰?」

まさか、あの時・・・記憶ももらってしまったのか・・・?
確かに僕には記憶がなかった。
いや、違う。
頭が割れると思った、あの暴走をした一瞬だけ頭に浮かんだリンと手を繋いでいる映像は僕の記憶のはずだ。
ということは、記憶は僕にもあったんだ。

「何も、覚えてない・・・?僕だよ。レンだよ?」
「レ、ン・・・?」

リンは本当に何も覚えていないようだった。
でも、それなら・・・僕が何をしても彼女は悲しまないだろう。
僕は決めたんだ彼女を解放するって。
もうその決心が揺らぐことは無い。
大好きな彼女を守るためなら何だってする。

「大丈夫、ほら笑って。僕はリンを自由にするために来たんだ。もう、独りじゃないよ」
「王子・・・様?」

リンの腕を引っ張り抱きしめた。
細い体。ちょっと低い身長。昔と同じ何も変わらない。
泣いている彼女の涙を指で掬い上げる。

「僕も昔、此処にいたんだよ」

子供をあやすように背中をトントンと叩いてあげる。
一向に泣き止まないリンの顔は酷いものだった。
顔を見なくて済むように思いっきり抱きしめた。
いや、顔を見られたくないのはきっと僕だ。
こんな泣きそうな顔を今の彼女には見せられない。
リンが落ち着くまで暫くそうしていた。





それから僕も此処に住むことにした。
幸いなことに制御できないだけでリンは暴走はしていなかった。
ある程度離れたところにいればエネルギーをとられることもなく過ごすことが出来た。
そのため寝るとき意識的に能力を使えない僕は離れた部屋で寝ることにした。
このことは何一つ彼女には伝えなかった。
伝えたところで彼女の不安を煽るだけだと思ったから。
それに、僕には寝ている時間は無い。
まず、リンの枷を外す鍵を探さなくてはいけない。
あのままでは何をするにも不便だから。
そして、爆破装置を何とかしなければ・・・
そう思っていつの間にか足を運んだのは、僕が暴走した部屋。
やはり、此処に何かがあるのかもしれない。
幾百年使っていなかった施設だ。埃や砂、蜘蛛の巣など現在では研究できるような場所ではなかった。
そもそも、此処の施設の電力は当時、何処から取っていたのだろうか。
電力は落ちていてメインコンピューターすら立ち上がらない。
何も手がかりが見つからずにもう2週間経ってしまった。もう、残り1週間しかない。
当時母さんが使っていた椅子に前後逆に座り考える。
コンピューターの前に良くあるローラーの付いてる椅子は地面を少し蹴るだけで滑っていった。
此処で諦めるわけには行かない。
そう思った瞬間椅子が何かに引っかかり倒れた。

「っ・・・」

椅子と一緒に倒れたために頭を打った。
何があるんだ・・・よ?
椅子が引っかかったところの床が削れている。
つるつるだった床の一部分だけが意図的に彫られたような後があった。
コンクリートと違いヒカリが反射してしまう床は何が彫られているか読み取りづらい。
でも、そんなことも言ってられずに必死に読んだ。
読むといっても浮かび上がってくるのは矢印ばかり。
その矢印をたどっていくとまた次の矢印にたどり着いた。
そして最後の矢印がさしていた場所は母さんの椅子が合ったところ。
近づいてみると四角い何かが置いてあった。
引きずり出してみるとそれは大きなダンボール。
中を見ると其処に入っていたのは蓄音機。しかも手動式。
まさか、コレを使うのか・・・?
でも、そう決意することになった決め手は一緒に鍵が入っていたこと。
たぶんリンの枷の鍵だ。
とりあえず、出してみる。
が、幾百年経っていて果たしてコレは使えるのだろうか。
一か八かで動かしてみる。
母さんがよく使っていたから使い方はわかる。
ハンドルを回して音が出るのを祈った。
再生されたものから聞こえたのは母さんの声。
それは、誰かに話しかけるというよりも自分の作業報告みたいな内容だった。
最初はリンのプログラムを担当することになったという不安や哀しさ。
その後は、リンの記憶をわざと消さなかったこと。
爆破装置を作らなくてはいけなくなったこと。
また、その装置はメインコンピュータが止まると機能を失うということ。


「て、ことは・・・」


既に爆破装置は機能を失っている。それも、かなり前に。
それじゃぁ、僕はずっと踊らされていたのか。あの役に立たなくなったスイッチに。
もう音を出さない蓄音機を傍らに、素直に喜べない自分がいた。
暫くそうしていると、再び蓄音機から音がした。すごく小さな声が。

「レン・・・ごめんね」

母さん・・・

「・・・このままじゃリンは暴走する。だけど・・・」

パキッ・・・

軽い音と共に音は途切れ、回り続ける蓄音機の遠心力でレコードがバラバラに落ちる。
幾百年の劣化には耐えられずレコードは割れ、針は折れてしまった。
リンのバグを見つけるために一人残った母さん。
もう、二度と聞くことは無いと思っていた声。
母さんが何を言おうとしたのかはもうわからない。
でも、コレでリンは救われる・・・
鍵を掴み立ち上がろうと思ったが、やはり止めた。

「まだ、夜だし・・・リン、寝てるよな」

とりあえず、そういうことにした。
安心したら眠くなってきた。
此処最近、鍵を探すことに夢中で寝ていなかったから。
そのまま夢の世界に落ちていった。







カシャンッ・・・

金属が落ちる音がする。
此れでリンは幾百年ぶりに自由になった。
軽くなった手足を動かし飛びついてくる。
それをしっかり抱きしめて笑うと彼女も笑った。
でも、何故か笑顔なのに泣いていて・・・

「なに泣いてるの・・・?」
「わかんない・・・嬉しいのに、涙・・・止まらない」

あぁ、もうなんて可愛いんだろうか。
このまま時間が止まってしまえばいいのに・・・

それからの日々は楽しかった。
まず、最低限使う部屋を掃除したり、本を読んだり、お茶を飲んだり・・・
とにかくリンにはいろんなことを楽しんでもらいたかった。
これが僕がして上げられる精一杯のことだった。
この、限られた時間の中で・・・

「ごほっ・・・ごほっ・・・」
「レン・・・最近咳酷いけど、大丈夫?」
「あぁ・・・平気だよ」

リンにいつもと同じ笑顔を向ける。
果たして本当にいつもと同じでいれているのだろうか・・・
実際、平気な訳ではない。
彼女の暴走が迫っているのを感じる。
最初はリンが僕のエネルギーを奪うのと僕が奪い相殺するのは少ない量だった。
それから徐々に彼女が僕から奪う量は増えて、半年たった今では僕が相殺できる許容量を超えてしまった。
今まで国を滅ぼしてきて奪ってきたエネルギーもそろそろなくなってしまう。
その影響なのか最近、喀血の回数が多い。
リンにはまだバレていないみたいだがそろそろまずい。
もう、限界・・・か
ならば今、直ぐに君を

「ついに賽は」

呪縛から

「投げられた」

解放する!!

「レン・・・?レ、っ・・・血・・・レン!!!!」

もう、自力で立つことも出来ない。
リンに支えてもらってやっと座ることが出来るくらいだ。
喀血もさっきから止まらない。

「なんで、こんな状態なのに何も言わないのよ!!!
 私の、私のせいなんでしょ!!この能力が・・・彼方を苦しめているんでしょ・・・」

違う・・・悪いのはリンじゃない!!
だって、その能力は僕のものだ・・・
そういいたいのに・・・声が出ない。
それに・・・僕は、君にもっと酷い辛いことをしてしまう。
でも、暴走はさせない。これでリンは救われる。
マントを止めていた緑のブローチを外す。

「これを、あげる。初めてだろ?僕のマントの・・・ブローチ」

今のリンにとっての初めてのプレゼント。いや、昔のリンにもこんな豪華なプレゼントしたことなかった。
彼女の頭にあるリボンを解いてスカーフのように巻いてブローチで止めてあげる。
体は上手く動かなかったけどそれでも出来た。

「こうして、ほら・・・お姫様さ。でも、僕は王子じゃ・・・ない・・・ごめん、ね」

僕の中では昔々に逢ったときから・・・
小さい小さいリンという女の子を見たときから
ずっとずっと・・・彼女はお姫様だった。
もっともっといろんなことをしてあげればよかった。
カラオケに行こうとせがまれてもリンより下手だったのが癪でいかなかったり
デートって言っても僕の家で遊ぶだけだった。酷いときはリンをほったらかして僕はずっと雑誌を読んでた。
それに今だって・・・こんなに悲しませてしまって。泣かせてしまって・・・
こんな僕でも・・・リンを愛しているのは本当だよ・・・?
でも、本当に僕の能力は強すぎる。
だけど、笑顔でいなきゃ・・・リンをこれ以上不安にさせたくない。

「レンの生命なんて欲しくない!!だから、やめて・・・そんなことしないで!!お願い・・・」

ごめん・・・僕の勝手な想いなんだ。
リンはもう解放されるべきなんだ。
だって、最初にやったのはリンだろ?
って・・・そんなこと・・・だって?
リンは僕が何をするか知って・・・る?
まさか・・・ね
最初からずっと泣きっぱなしのリン。
でも、此れが本当に最期だから・・・リンの嫌いな不意打ちだけど、許してね。
リンの頭に手を回し、唇にそっと自分のものを重ねる。
その瞬間、全ての能力をリンに返す。
今まで、ありがとう・・・
目を閉じて薄れて行く意識の中で微かな声が聞こえる。

「こんな・・・勝手じゃない!!!なんのために・・・私が何のためにレンを助けたと思ってるのよ!!!!」

あぁ、やっぱり記憶が戻って・・・
ごめんね・・・リン
でも悲しまないでよ。
僕の生命はリンとずっと一緒にいるんだから。
いつかきっとわかるよ。

そうだ・・・今度また二人で過ごせる日が来たらさ。
カラオケ行った事なかったしさ、歌を歌おうか・・・もちろん僕は下手だけど。
きっとリンと一緒なら何でも出来る気がするんだ。
忘れるなよ?約束だからな・・・

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